10月はピンクリボン月間です~乳がん啓発~
佐賀県は全国と比べ乳がん・子宮頸がんの死亡率が高いです。
普段は仕事や家事、子育てなどと忙しく自分のことは後回しになっていませんか?
早期発見できる期間は短いです。自分や大切な人のために定期的にがん検診を受けましょう。
乳がん
佐賀県医療センター好生館 乳腺外科部長
佐賀県がん対策等推進協議会乳がん部会長
白羽根 健吾 先生
乳がんについて教えてください。
乳がんは乳腺にできるがんです。乳腺は「小葉(しょ うよう)」という母乳を作る組織と、母乳を乳頭まで 運ぶ乳管からできています。
一般的にいう乳がんは、 乳管の細胞ががん化してできるものです。
発生の頻度は高くありませんが「小葉がん」もあります。乳がんの罹患率が最も高いのは40代後半で、30代後半か ら急増していきます。乳がんの罹患者数は年々増加し ています。
乳がんの原因は何でしょうか。
乳がんの発生にはいろいろな要因が複雑に絡み合って います。
原因の1つとして、女性ホルモンのエストロゲンが深くかかわっていることが分かっています。
初湖年齢が早い、閉経が遅い、出産・ 授乳経験がないもし くは期間が短いなど、長期間、エストロゲンにさらされることになるとリスクが高くなります。
エストロゲン は脂肪からも生産されるので、肥満の方は注意が必要です。
そのほか飲酒、喫煙、運動不足、乳がんの家族がいればリスクは確実に高まります。
乳がんができやすい場所、症状はありますか。
乳がんは乳腺にできるがんですから、乳腺が集まる乳房の上部、外側に特にできやすいと言われています。
症状の約90%はしこりです。
そのほか皮膚のひきつれ ・ 変色、乳頭の変形、陥没、びらん、ただれ、血液混じりの分泌物が現れます。乳がんが小さかったり、 乳房の奥にできていたり、しこりが大きくなるのではなく、乳房の形を変えずに、ばらばらと広がっていくタ イプもあり、見つけにくいことがあります。
早期発見で大事なことは何でしょうか。
まず、自分の乳房の状態に関心を持ち、意識する「ブ レスト・アウェアネス」が大事です。
意識していることで乳房の変化に気づき、それが病院を受診してみようというきっかけになります。
1~2か月に1回は自己触 診をしてください。
当館を受診する約3割の患者さん が自分でしこりに気づいた方です。
自己触診は乳房の状態を見ること。入浴時や就寝前に横になった時に、 しこりがないか指の腹を滑らせて乳房を触診してく ださい。
子宮頸がん
内山産婦人科医院副院長
佐賀県産婦人科医会理事
内山倫子先生
子宮頸がんの原因は何でしょうか。
子宮頸がんはHPVというウイルスの感染が原因で起こります。
HPVの種類は約150種。その中でも性交渉によって十数種類の高リスク型HPVに感染すると、子宮頸部の細胞に異常をおこすことが分かっています。
多くの女性が 一生涯に一 度は感染すると言われますが、約90%の人は自己免疫力で自然にHPVを排除することができます。
残り約10%の人は、感染が持続して行きます。
HPVの感染が持続すると、どうなりますか。
正常な細胞がHPVに感染すると、細胞に変化が起きます。
これを異形成と言います。 異形成は軽度 、中度 、高度 と異常の度合いが変化して上皮内がん、浸潤がんと進ん でいきます。
HPVの感染から浸潤がんになるまで、数年から十数年かかると言われています。
この間に、異形成の 段階で発見することができれば、子宮頸がんにならずにすみます。つまり子宮頸がんは予防できるということです。
具体的に子宮頸がんを予防する方法を教えてください。
一つは子宮頸がん予防ワクチンの接種です。
ワクチンの副反応等の報告もあり、現在積極的勧奨が差し控えられてはいますが、子宮頸がんに対する予防効果は高く、定期接種になっていますので、市町の予防接種担当課に相談するなど、ワクチンの有効性やリスクを十分に理解した 上で受けるかどうか判断してください。
小学校6年生か ら高校1年生までの女子は無料で受けることができます。
もう一 つは子宮頸がん検診。 定期的な検診により異形成の段階で見つけることができます。
20歳以上の女性は2年に1度検診を受け てください。従来の細胞を調べる細胞診だけ でなく、技術の 進歩でHPVに感染しているかどうかも同時に譲べることができるようになりました。
HPVの検査が陰性で、細胞診も異常なしであれば、3年間は検査しなくてもよいと言われています。佐賀県 では30~44歳までの方に無料でHPVの検査を実施しています。
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